中小企業診断士のりの企業診断日記

中小企業診断士としての観点で投資に役立つ企業診断を行います。

【千代田化工建設, 6366】2020年度第三四半期決算分析 - 純利益進捗率92%の好決算

 

こんばんわ、今日は千代田化工建設の決算発表があったので取り上げたいと思います。
私もプラントエンジニアリング業界に従事する立場ですのでちょっと詳しく解説したいと思います。

以前に専業三社について記事にしたものがありますので是非一度読んでみてください。
千代田化工日揮は水素というHot Wordで取り上げられることを目にしますが、どのような事業会社かしっかり理解したうえで投資していきたいですね。 

 

 

 

  

 

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株価および各指標

まずは本日(2/2)時点での株価およびPBRを見てみましょう。

銘柄 株価 時価総額 PBR EPS(予想) PER(予想)
千代田化工建設 349円 908億円 2.92 27.0 12.9

PBRはほぼ3なんですね。後で出てきますが、近年の巨額損失のせいで自己資本がものすごく減っているのでPBRが大きくでてしまうんでしょう。
ちなみに同業の日揮のPBRは1を切っていますので業界としては尻すぼみと見られています。 

2020年度第三四半期決算概要

ここからは発表された決算発表資料を基に進めていきます。

まずは業績です。

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ここの要点は、

  • 完成工事高(売上高)の進捗は87%と上出来
  • 一方で総利益(いわゆる粗利)率は想定より大幅Downの6.4%
  • 純利益は進捗率92%

純利益だけ見ると好決算のように見えますが、粗利率が落ちておりそれにつられて営業利益も想定より低い数字になっているのが心配です。また為替レートの想定が107円となっているのも不安要因です。建設業ですが輸出産業ですので原則円高は収益マイナスに働きます。

 

 次に賃借対照表を見てみましょう。

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要点は、

自己資本の縮小により、赤字を出せない状況に陥っています。これまで何度か三菱商事に助けてもらっていますが、次はないかもしれないので要注意です。

 

次に受注残高です。プラントエンジニアリングは受注産業で受注した仕事を数年(だいたい4,5年)でこなしていきます。つまり受注が数年後の売り上げに聞いてくるというわけですので長期投資を考えている方は注視ください。

 

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ここでの要点は、

  • 受注残高が約6300億円となっている。今年の売り上げはおよそ3000億円なので2年分ぐらいしか受注残がないので危険水準。
  • 受注高累計は1000億円と達成率16%。

受注高は16%とかなり低い状態ですが、千代田化工にはカタールLNGがあります!決算短信のなかでもこのPJについて触れられています。カタール王国を築いてきた千代田としては必注PJでしょう。

今年の一月末に入札結果がわかるとニュースになっておりましたが現時点では情報が出てきません。この仕事はめちゃくちゃでかい!もし千代田化工が受注できればこの受注目標は大きく上回ることになります。引き続き注視していきましょう。

どれだけでかくて重要なPJか以下記事で説明しておりますので是非ご覧ください。 

 

まとめ

千代田化工の決算を見てみましたが復活に向けて着々と利益を積み上げています。ぜひこのまま利益を積み上げ無配当から脱却することで株主からの信用を回復してもらいたいと思います。業界分析でも触れましたがエンジニアリング業界そのものが市場から高く評価されていないのが現状です。なんとかこれから盛り上げていってもらいたいと思います。

 

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