中小企業診断士のりの企業診断日記

中小企業診断士としての観点で投資に役立つ企業診断を行います。

【業界分析】 プラントエンジニアリング専業 - 日揮、千代田化工、東洋エンジの取り組み

こんにちは、のりたまくんです。
これまでのプラントエンジニアリングの記事を読んでいただいた方々は、かなり理解が深まったのではないでしょうか。これまでの記事をまとめるとこんな感じででしょうか。

  • PBRは割安圏を推移
  • 各社とも売上・収益は年々低下傾向だが、コロナによる原油安の影響で更に低下する可能性大
  • オイル&ガスのプラントエンジニアリングは1 PJ 数千億規模のものが多数
  • プラントエンジニアリングそのものがギャンブルのようなもの。上手くいけばデカい収益が、失敗や不運があると大損失につながる。

各社、上記のような状況を指をくわえてみているはずもなく、状況を打開すべく様々な取り組みを始めています。それらを各社紹介していきたいと思います。

 

なお、過去記事をご覧になられていない方は以下を一読ください。

 

  

  

日揮ホールディングス

日揮は、これまでオイル&ガス事業を万遍なくこなし、2017年以外は安定した収益を上げており、御三家の中では圧倒的に抜きんでており、一強状態です。しかしオイル&ガス一辺倒ではこれからやっていけないと考えており、注力しているところは、以下の2点です。

①インフラ事業の成長

バイオマスや太陽光などオイル&ガス以外の発電事業を育てようとしています。その本気度は2019年後半に行われた組織改編にも表れており、インフラ事業を社内で独立させカンパニー制を取りました。しかし、インフラ関連事業の2020年の受注目標は1400億円に対して14億円と、進捗率1%と大変厳しい状況です。

②製造業での安定的収益

日揮は触媒などを作る製造業を持っており、安定した収益を上げています。それらを今後伸ばそうとコア事業の一つと位置付けました。これは他社にはない特色ですね。

 

千代田化工建設

千代田化工は、オイル&ガスの中でもLNG一本足打法でやってきました。LNG PJは一プロジェクトの規模が大きく、近年のPJ遂行失敗による多額損失を出してしまい三菱商事の援助を受けました。日揮同様にインフラなどの事業を増やしていこうと努力していますが、ここに三菱商事の事業を作り上げる力が加われば、その動きが一気に加速するかもしれませんが、今のところは日揮同様苦戦中です。

ただ、千代田化工で知っておくべきは、水素事業です。
水素は将来クリーンな資源として大変注目されていますが、保管・輸送が難しい難点がありましたが、千代田化工が技術開発に成功しており(SPERA水素)克服できるとしています。その技術を使い、千代田化工三菱商事三井物産日本郵船によりAHEADという会社を立ち上げ水素の輸入などを始めています。今後水素エネルギー需要が拡大し、シェアを獲得できれば、、、夢は広がりますね。

 

東洋エンジニアリング

東洋エンジニアリングは、2010年ごろからオイル&ガス一辺倒からの脱却を目指し、他事業化への変革においては他社と比べて一番進んでいます。
売上構成を見てもオイル&ガス事業は売り上げの4割程度で、残りは下流事業の化学品プラントや、発電プラントなどのインフラ事業を現時点で占めています。
インフラ事業は日揮・千代田も総力を挙げて参入してきますので、レッドオーシャン化することでしょう。これを勝ち抜く戦略・新たな事業創出など目立ったIRはありませんが、他社と比べて変革への意識付けが出来ているでしょうから今後のIRには注目ですね。

 

まとめ

これまで私が10年務めているプラントエンジニアリング業界について語らせていただきましたが、これで一旦最終回となります。
また何か書きたいことが出てきたら書かせていただきますが、みなさんも気になることなどありましたらコメントください。お待ちしています。