こんにちは、のりたまくんです。
先日自動車メーカー業界を横並びに分析していた際に三菱自動車の今期計上予定赤字が現在の時価総額を超える額となっていることに気づきました。
これはやばいんじゃないか!?ってことで財務諸表から現状を読み解いてみようと思います。
私も三菱商事の株を少し持っていますので他人事ではいられせん。
前回の自動車業界横並び分析の記事は以下をご覧ください。
noritamashindan.com
企業概要
設立 1970年
従業員 連結32171名
株価 218円 (2020年12月19日時点)
時価総額 約3200億円
PBR 0.57倍
今期決算予想およびその進捗
以下は2020年上期の決算情報からの抜粋です。
上記を基に整理すると、
(億円) | 業績予想 | 上期実績 | 進捗率 | 下期予定 |
---|---|---|---|---|
売上高 | 14800 | 5749 | 38.8% | 9051 |
営業利益 | -1400 | -826 | 59.0% | -574 |
経常利益 | -1600 | -870 | 54.4% | -730 |
純利益 | -3600 | -2099 | 58.3% | -1501 |
となります。
要点は、
- 売上高の進捗は40%以下。下期に1.5倍以上の売り上げ計上予定
- その売り上げを上げたとしても経常利益はもちろん営業利益も大幅赤字
一体、いくら売り上げたら黒字になるんでしょうか。損益分岐点はもっと上にあるということですね。大変厳しい決算となっています。
財務諸表推移 2020年度前期
2020年度前期の決算発表を基に現状の分析です。
要点は
- 損失を埋めるために有形固定資産(工場や機械など)を削減している
- 流動負債の減少は、買掛金の回収が進んだことが主な要因
- 固定負債の増加は、長期借入金2400億円増加が主な要因
- 純資産減少は、前期の純損失2000億円が要因
- 結果、自己資本率が大幅低下し資本構造が危険水域
となっております。ここから後期に更に1500億円の純損失計上すればどうなるでしょか、次で見てみましょう。
財務諸表 2020年度後期予想
後期計上予定の純損失の影響を見るために、以下を前提にした各指標は以下の通りです。
- 純資産 - 1500億円
- 流動資産 - 800億円
- 固定資産 -700億円
現金などを含む流動比率はそれほど厳しくならないですが、やはり自己資本比率が大幅に低下になります。
仮に現金が不足した場合、自己資本比率が低いとそれ以上の銀行などの融資を行えなくなってしまい、一般的に以下のような策に出ます
- 公募増資による新株発行
- 第三者割当による新株発行
どちらにせよ、現株主にとっては、株の価値が希釈されてしまいますので引き続き注視が必要です。
まとめ
時価総額3200億円の三菱自動車が年間3600億円の純損失を出しても何とか経営を維持できそうであることが分かりました。ただし、今期後半に計画している売り上げ計画は前期の1.5倍での数字です。これが達成不可で更に収益悪化になったり、来年も赤字が続くようであれば確実に資金調達のための新株発行が必要になるでしょう。株主の皆様は注視しましょう。