中小企業診断士のりの企業診断日記

中小企業診断士としての観点で投資に役立つ企業診断を行います。

【FRONTEO, 2158】約22億円のシンジケートローン締結!財務状況への効果は!?

こんにちは、のりたまくんです。
体調不良に悩まされ更新が3日ほど止まってしまいましたが、基本的には毎日1記事更新を目標としているので引き続きよろしくお願いいたします。

さて、昨夕にFRONTEOに新たな動きがあったので、その分析をしてみようと思います。
今日の株価もほぼ動かず、市場は冷めきっていますね。

前決算時に財務分析をしており、その危機的状況をお伝えしましたが、それが改善されたのか!?なお、前記事は以下をご覧ください。 

 

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シンジケートローンとは?

シンジケートローンとは複数の金融機関がシンジケートを形成し、一つの契約条件で契約を行うローンのことです。そのシンジケートの代表をアレンジャーと呼びます。
そのメリットが三菱UFJ銀行HPには以下のように書かれています。

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FRONTEOのケース

これは公表資料の抜粋になりますが、

当社は、2015年12月に、米国eディスカバリベンダー(現FRONTEO USA INC.)の株式取得資金として、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行の二行個別に、合計4,229百万円(為替レートを$1=123.48円で換算)の借入を行いました。返済期間は10年間の前提で、契約は5年契約とし、5年後の2020年12月に、更に5年間の契約更新を想定しておりました。2015年12月から本日まで、順調に計画通り約定弁済を行い、予定通り、更新時期を迎えました。更新に際し、株式会社三菱UFJ銀行、株式会社三井住友銀行による当社への協力体制をより明確化することを目的として、株式会社三菱UFJ銀行をアレンジャーとして、二行でシンジゲートの体制へ変更の上、予定通り、5年間の更新を行うことで合意されました。

 要点は、

  • 2015年に42億円程度の借り入れをUFJSMBCから行い、返済期間は10年前提
  • 2020年12月(つまり今)契約更新が必要であった
  • 更新手法として三菱UFJ銀行がアレンジャーとしてシンジゲートを組んだ
  • つまり、新たな借入金を行ったわけではない!

というと、なにがいいことが起きるのでしょうか?それは以下の文章に書かれています。

本件契約締結(本件ローンの実質的な更新)により、流動負債の1年内返済予定の長期借入金1,786百万円が、固定負債である長期借入金へと振り替えられることとなります。

この結果、流動比率流動資産と流動負債のバランス)が高く算出されることになり、当社の財務体質は大幅に改善されます。

 つまり財務諸表上の計上する箇所が変わりましたよってことですね。
では、財務諸表上どうなるか見てみましょう。

 

財務諸表上の影響確認

今回の件で財務諸表上どういう影響があるか見てみましょう。
2020年9月期の決算時との比較ですが、以下2項目考慮しました。

  • 前回決算時公表された8億円の増資(純資産 + 8億円,流動資産 + 8億円)
  • 今回の発表事項(流動負債 - 18億円、固定負債 + 18億円)

 

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要点は、

  • Fronteo公表通り、危機的状況であった流動比率が100%を超え、何とか安定水準に
  • 8億円の増資により自己資本比率が向上した。

これにより、前回記事に今期の黒字化はMustであるとお伝えしましたが、多少赤字でも耐えられる財務状況になりました。
とはいえ、まだまだ自己資本比率が低いので油断は禁物です。

 

まとめ

財務諸表上の計上項目を変えることができ、数字上大幅に改善しましたが、新たな資金調達等ではありません。
やはり本業で黒字を出すことがFRONTEOの企業価値向上に繋がりますので次期決算を期待したいですね。引き続き応援しています。