中小企業診断士のりの企業診断日記

中小企業診断士としての観点で投資に役立つ企業診断を行います。

【ANA, 9202】3300億円もの公募増資を発表!! IR資料を読み解く

こんにちは、のりたまくんです。
今日の夕方にANAの公募増資が正式に発表されましたね。そのIR資料を見ていきましょう。

 ただ前情報と比べて規模が大きかったので株価への影響はあるでしょう。
先日2000億円の公募増資があるだろうとニュースになった際にANAの財務状況を分析しており、公募増資が2000億では済まないのでは?と触れておりましたが、現実になってしまいました。その過去記事は以下をご覧ください。

 noritamashindan.com

 

 

3300億円の公募増資ってどれぐらいの影響が?

今回の公募増資で新株を約1.25億株、第三者割当含めて1.4億株発行するとしています。既存のANA発行株は3.5億株程度なので、一気に40%近い株価を新たに発行することになります。単純計算で株価は30%弱価値が希薄されます。2000億円の公募がニュースになった際に株価が反応しある程度すでに見込まれていますが、現時点のptsで4%程度株価下落しています。もっと落ちるかと思いましたが意外に市場は静観です。

 

3300億円の使い道は?

IR資料からの抜粋です。

中長期的な成長原資として、需給適合対応力の向上(※1)と環境負荷(※2)の低減を実現するボーイング 787 型機(787-9型機及び 787-10 型機)の購入を含む設備投資資金と、リスク耐性を高めるための財務基盤の強化として、長期債務の返済資金に充当する予定です。

詳細金額はIR資料後半に書かれており、2000億円はボーイング787への投資に使用し、残り残金を長期負債の返済資金にするとあります。
本来であれば今回での増資で大幅に自己資本を増強し自己資本比率が回復すると言いたいところですがBloombergの記事には以下のように書かれていました。

ANAHDの中堀氏は、劣後ローンと今回の資本増強によって年度末の自己資本比率は9月末の32%とほぼ同水準まで回復させることができるとの見通しを示した。

つまり、今回での増資は、財務諸表上は、今期計上予定の損失の穴埋めということになってしまいます。

 

まとめ

  • 今回での増資で新たに1.4億株発行し、株の価値を約30%希釈させる
  • 2000億円をボーイング787の投資に回し将来の成長を促す
  • 今回の増資は年度末に計上する損失を補填するにすぎず、自己資本比率は回復せず